CM界の巨匠中島哲也監督の映画。役者も今時の芸能界から広くキャスティングされており、意外性がある反面、これ以上にはまっている配役は無いでしょう。尼崎、茨城といった地域を選んだのも同様に成功していますし、50CCのママチャリバイクを竹槍改造して、ジャスコ命な価値観とニセベルサーチを家宝のようにありがたがる土屋アンナのヤンキー、茨城の農家のようなところに住むロココな自分勝手な姫の深田恭子のコンビも意外性とハマリの融合。そして、誰にでも中学高校の頃にこんな子「いたかも?いないかも?」という実在感と非実在感の面白さ。そして「こんな友情があったらいいなー」となんだか中高時代を思い出す、以外にジェンダーを超えた共感性があるのではないかと思います。編集に毒のあるアニメーションを入れるなど、かわいいけど毒があるのも魅力。近年稀に見る傑作活劇ですね。
少女の友情物語だけど、甘ったれないスッキリ感とテンポの良い笑いが心地良いおすすめ度
★★★★☆
深田恭子のロココ調のヒラヒラお洋服を着たはまり役と、
土屋アンナもこれまたはまり役の田舎ヤンキー。
この全く似ても似つかない正反対の少女の友情を描く。
18世紀のマリーアントワネットを代表する贅沢軽薄なフランス文化ロココと言う、
この世で一番とも言えるくらい甘ったるい世界観に憧れながら、
性格は完全なドライでヤンキーにも恐れをなさないちょっと変わった桃子(深田恭子)。
親の言いなりと弱い自分に嫌気がさして、14歳でレディースとバイクに目覚めたイチゴ(土屋アンナ)。
そして桃子の父で元ヤンキーの駄目親父役・宮迫と、祖母役の樹木希林、別れた母役の篠原涼子、
皆ちょっと味が濃い目だが、それぞれはまり役で良い味を出しており良演である。
大阪の尼崎と、茨城の下妻という、映画の舞台になる事はまずない地方色の濃い地域、
(尼崎の風情、牛久の大仏、竜ヶ崎、常磐線、JUSCOなど地元人には頷ける要素が満載である)
そんな地域で繰り広げられる、ちょっと変わった少女の友情を描いたバタバタコメディだけど、
中身は全然甘ったるくなく、テンポの良いお笑いと、ほろ苦い涙もあり、人生のちょっとした哲学もある。
最後には何故かスッキリとした爽快感で気持ちよく見終われる。
観る前は正直甘ったれたロリータ風の少女とくだらないコメディと言う映画のイメージだったが、
観終わってからはそんな先入観を吹っ飛ばす爽快感と温かさが残る、そんな作品である。
大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★
わたくしめもついに買いましたよ
。値段の割には上出来。
買って良かったと思います。
概要
茨城県・下妻に住み、ぶりぶりのロリータ・ファッションに身を包んだ少女・桃子(深田恭子)がヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)と出会い、数々の騒動に巻き込まれながらも強力な生き様を貫く、嶽本野ばら原作のハイパーパワフルな乙女たちの純情物語。
「私はマリー・アントワネットの生まれ変わり」という発言をしたフカキョン嬢をTVで見た中島哲也監督がキャスティングしたことで、この映画の成功はほぼ約束されたようなものだ。「ロココ調の18世紀のおフランスに生まれたい」と懇願し、あぜ道をヒラヒラファッションと日傘で、牛のウンコふみながら歩く桃子とフカキョン嬢は一卵性双生児ではないかと思えるほどのハマリ役。その彼女を生かすため、中島監督は全編をコミックタッチで演出。色があふれそうな映像のトーンとハイテンションなキャラクターたちが火に油を注ぎあい、鑑賞後には根拠のない前向きなイケイケ感を噛みしめてしまう傑作。(斉藤守彦)