繊細でファンタジックな描写と戦慄の結末の同居おすすめ度
★★★★★
魅力あふれる長編のホラーミステリー作品を発表し続ける著者の12編の短編集だ。著者の短編作品には独特の魅力が凝縮されている。それはホラーでありながら暖かみすら感じる繊細な心理描写とともに、予想を大きく裏切られる展開と戦慄を覚える結末が用意されているという点だ。時には猟奇的であったり、時にはファンタジックであったりするが、結末には驚愕させられる。
作品はテーマ別に配列されている。
謎解きの楽しみのある「見知らぬあなた」「ささやく鑑」「茉莉花」「時を重ねて」
猟奇的な「ハーフ・アンド・ハーフ」「双頭の影」
社会問題化しているテーマの「家に着くまで」「夢の中へ」「穴二つ」
ファンタジックな「遠い窓」「生まれ変わり」「よもつひらさか」
これらの中で特にファンタジックな描写が光る。「遠い窓」では壁にかけられた絵のアパートの窓の状態が日々変化するが、その様子が日記風に空想されていて夢がある。無論その現象の説明と取り返しのつかない結末が用意されているが、情緒的に深いところまで描かれる。表題作「よもつひらさか」は一瞬もページから目が離せない緊張感に満ちており、主人公の恐怖を覚える心理状態がリアルに描かれるが、古事記に題材を求めた幻想的雰囲気にひたる事が出来る。
著者渾身のきわめて密度の濃い短編集だ。
結末を知っていても、何度でも読みたくなる。
すばらしい
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。TOP100ランキングに入っているのでご存知の方も多いと思いますが、
ホント満点を付けても良い出来です。