最近の映画(洋の東西を問わず)に不満を持っている方へおすすめ度
★★★★☆
最初に書くと、本書は「ただ映画を馬鹿にするための本」ではない。
取り上げた映画の、どこが良くて、どこがダメなのかを実に的確に指摘している。
101本の映画を国境関係なしに分析している。ハリウッド映画に限らない。日本映画、韓国映画も取り上げられている。
柳下氏は、巻末の言葉で「自戒を込めて言うけど、悪口を書くほうが簡単なんだよね」と仰っているが、ただの罵詈雑言の寄せ集めでは、ここまで面白い本には仕上がらないだろう。
だから、本書を読んでみると、近年の映画を、逆に観てみたくなったりするだろう。そりゃあ、「2001年宇宙の旅」「カッコーの巣の上で」のような大傑作はなかなかこのご時世、作れるものではない。だがしかし、最近の映画に不満を持っている方には本書をお勧めしたい。逆に、今後の映画界に希望を持つことができるかもしれない。そういう意味では、本書は読者を選ぶかもしれない。
先ほど、「2001年」が云々、と書いた。今の映画界に不満を持っている方にならお分かりいただけるだろうが、現在の映画システム(これも洋の東西を問わない・・・と書きたいが、最近の日本映画があんなにダメなのはなぜだろう)のどこがいかんか、という点も、本書ではきっちり指摘されている。実に多面的な批評本なのだ。
映画に真摯な姿勢を持たれている方に、是非お勧めする。
激辛批評でなくフェアな批評で、映画ガイドとして必読おすすめ度
★★★★☆
タイトルを見ると批判的な批評ばかりのようだが、実際はそうでなくフェアな内容だと思う。大作だけではなく佳作も多く含まれているので、この本を読んだあと見ようと決めた作品が少なくとも10作品はあった。
ネタバレとかの無いようにあまりストーリーを細かく紹介しないで、監督が目指そうとした方向や撮影技術などに焦点があてられていて面白い。町山氏の評論と比べられているようだけれど、タッチはかなり違う。町山氏のは、もっと庶民的でわかりやすく、そして自分のアメリカ生活の実体験がリンクしているのに対して、本書の柳下氏のは、もっと格調高いタッチで映画文化を独自の考察で論じている。個人的には町山氏のほうが好きで、ちょっと本書の柳下氏の話を読んでると「本当にそんなに映画がわかってるつもり?」と聞いてみたくなる気もする。
いずれにせよ、これだけ映画をちゃんと紹介してくれる本は数少なく、自分の映画趣味にはずいぶん助けとなったので感謝の意を表したい。
これは彼の映画に対する詩なのである。おすすめ度
★★★★☆
まず、本の柔らかさとシンプルな装丁。
そこに張り付く銀色の帯。そこに書かれているのは激辛映画批評とある。
いや違う。これは101の彼の映画の詩なのである。
彼の簡潔した文章は、「佇まい」ということばを「僕に」表してくれた。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
出来は非常に良いです。非常に洗練された魅力的なものになっていると思います。
ホント満点を付けても良い出来です。